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肺気腫という病気について【中井 宏俊】

このブログにお越しいただき、有り難うございます。

兵庫県は伊丹市にあります、ケアミックスの病院の

リハビリテーション科に所属しています。

理学療法士、中井宏俊です。

 

今月2日、落語家の桂歌丸さんが慢性閉塞性肺疾患(COPD)でご逝去されました。
81歳という年齢を感じさせない、落語に対する情熱で体調を崩しながらも
高座に上がっておられました。
長期的にテレビ番組にも出演されていたので、きっとショックを受けられた方も
いらっしゃるかもしれません。
私もその一人です。子供の頃からテレビで拝見して、笑わせてもらっていましたから。
その歌丸さんの死因として先ほども挙げたCOPDという病気。
どんな病気かご存知でしょうか。
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)とか、
「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患」とガイドラインには記載されています。
その中でも煙草で肺の組織が破壊されて、正常な機能を保てない状態を肺気腫といいます。
肺の中の肺胞という袋がありますが、そこで酸素や二酸化炭素がやり取りされます。
でも、その袋が壊れやすくなってしまったり、適度な張りがなく柔らかくびよーんと伸びてしまうような状態になります。
また、柔らかくたわんでしまうので、あまり速い呼吸をすると、空気の通り道がべちゃっと狭くなってしまって、
空気が通らない状態になってしまいます。
さらに、炎症が起きる疾患ですから痰などの分泌物が出やすくなって、より空気の通り道が狭くなったり、
空気が肺胞という袋に届きにくくなります。
その結果、体内に酸素が入りにくくなり、二酸化炭素も溜まりやすくなります。
高炭酸ガス血症とか、低酸素血症、という状態になります。
皆さん、息苦しくなると、どうしますか?
「ぜーぜーぜー」とか「はぁはぁはぁ」とか、速い呼吸になりませんか。
深くてゆっくりとした深呼吸とか、腹式呼吸というような呼吸は多分しませんよね。
全力疾走直後の呼吸を思い浮かべてもらえるとわかりやすいかもしれません。
走った後でも、特に健康状態に問題なければ、呼吸は整ってゆっくりできます。
でも、肺気腫やCOPDの方は、常にそういう速い呼吸をしないと苦しいんです。
ゆっくりとした深い呼吸は出来ないんです。
そうなると、効率的な呼吸は出来なくなりますから、
非効率な呼吸をするとどうなるか?
余分にエネルギーを使うことになります。
呼吸というのは正常であればそんなにエネルギー使いません。
でも、この病気になると、正常の何倍もエネルギーを使うことになります。
そして、そんな速く浅い呼吸をしないといけない状態なのに、
食事を十分に摂るというのが難しくなります。
なので、この病気になる方は、多くの方が痩せていきます。
実際、桂歌丸さんも元々痩せておられましたが、病気の進行とともに
少しずつ痩せていっておられました。
この病気は一度なってしまうと治りません。
対症療法が中心の治療となります。
主には薬物療法、それに加えてリハビリテーション(呼吸リハビリ)や栄養指導が行われます。
なので、罹らないようにすることが何より大切になってきます。
この病気の一番の原因は煙草です。喫煙です。
「長年吸ってるから、もう無理だろう」
そう思われる方々も多いかと思いますが、そんなことはありません!
煙草を止めると、一般的な経過としては以下のように進んでいきます。
◎1~2か月(場合によると数か月):咳や痰、喘息の症状が改善します
◎1年(ないしは2~4年程度):心筋梗塞やその他の心疾患に罹る確率が大幅に低下します
◎10年~15年:咽頭がん(のどのがん)に罹る確率が、煙草を吸い続けている人と比べて60%ほど低下します
◎10年~19年:肺がんに罹る確率が、煙草を吸い続けている人と比べて50~70%ほど低下します
◎20年:口腔がんに罹る確率が煙草を吸わない人と同程度になります
つまり、少しずつですが、改善していく可能性があります。
近年、喫煙率の減少とともに、肺がんでの死亡率は年齢調整死亡率でみると減少する、というデータもあります。
(実際に肺がんでの死亡者数は増加傾向ではありますが、あくまで高齢者の方の多くのデータによるもので、全年齢で見ていけば減少傾向にある、という理屈です)
COPDになると、とても苦しいです。
息苦しさ、というのは一瞬であれば辛抱できますが、これが24時間365日続くとなると、
その辛さ、大変さは想像を絶するものがあります。
酸素を吸わないといけないので、そういうデバイス(鼻につける装置)をずっと着けるというのも
苦痛の一つと言えるかもしれません。
なので、煙草を吸っていて、まだCOPDの診断がついていない。
息苦しさなどの症状が出ていないのであれば、喫煙者の方は
是非禁煙しましょう。
禁煙外来を活用したり、リハビリテーションの専門家であるセラピストや
呼吸器内科がある病院に相談すると良いかもしれません。
本日はここまでになります。
最後までお読みいただき、有り難うございました。
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